読んだ本
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス Kindle版 - Amazon アフィリエイトリンク
SLG(Sales-Led Growth:セールス主導の営業手法)の教科書って言われているらしい(?)
まとめ
ビジネスにおいて大事なのは「再現性」。
この本は、その会社にベストとなる「THE MODEL」(理想の営業プロセス)を創造するための手引書。
分業型の営業プロセス
従来型と呼ばれる営業プロセスでは、顧客接点のすべてを営業がカバーしていた。 ターゲットリスト作成、電話・メール、アポイント、提案、交渉、受注。 (便宜上、この記事では「フェーズ」と呼ぶ)
セールスフォースに入社したときの研修では、分業型の営業プロセスを学んだとのこと。 分業型の営業プロセスでは、フェーズごとにそれぞれのスペシャリストが担当することで、より効率的に営業活動ができる(同じリズムの仕事に集中できるから)。 マーケティング、インサイドセールス、営業(フィールドセールス)、カスタマーサクセスで分担する。
ウェブサイト・セミナー・キャンペーンから、リード獲得、メールするまでをマーケティングが担当。 電話してリードの選別(クオリファイ)をするまでをインサイドセールスが担当。 提案、交渉、受注までを営業(フィールドセールス)が担当。
さらに、このプロセスをシステムで管理していく。 管理するためには測定できなければいけない。 プロセスを評価する指標を設定、どこがボトルネックなのかを把握、対策を打つ。
リサイクル
新規顧客だけだといつかは頭打ちになってしまうので、失注した顧客などを再びプロセスに乗せる(リサイクルする)流れが必要になる。
顧客による調査・評価
昔と違って、顧客は自分で情報を仕入れて判断したい=営業されたくないと思っていることが多い。 優れた顧客体験は、価格や商品そのものよりも重要な意思決定の基準になっている。
検討の中で、以前より「営業からの情報提供・提案・契約」の比重が大きく減り、「顧客による調査・評価」の比重がとんでもなく増えた。 つまり、「顧客による調査・評価」というフェーズが重要度を増している。 ここをデータ収集・分析する必要がある。 Web の訪問履歴やクリック情報などが取得できるようになった。
分業によって起こる問題
分業すると、各フェーズを担当している部門の対立が起こる。 もっと顧客を上げろ、今は手一杯だからもういらない、自分たちの目標達成のために顧客を取ってきたから後はよろしく、とか。
そこで、協力せざるを得ない目標を設定する。 すべての始まりは売上なので、売上をあげるためのプロセスを理解し、それに向けて共同作業をする組織づくりをしていく必要がある。
マーケティング
「商談を作るまで」を担当する。 今はそれにとどまらず、営業プロセス全体に影響を及ぼすようになった。
- 検討初期では、今後の商品 / 技術などの方向性を示してブランド認知を高める
- 検討中期では、比較検討に役立つようなコンテンツを提供する
- 検討後期では、自社の差別化要因を明確にし、最終的な評価 / 選定を促す
といった感じ。
以前はマーケティングの担当フェーズでは、ユーザーがどのステージ(フェーズの中の進み具合)にいるのかが分かりづらかったが、今はそれもデータとして取得できるようになっている。 認知拡大、リード獲得、リード育成、有望リード、とステージが進んでいく(リード=見込み顧客)。 そしていい感じになったリードにインサイドセールスが接触していく。
ちなみに、過去の顧客をリサイクルするのもマーケティングの仕事っぽい。
インサイドセールス
「リードを商談化するまで」を担当する。 確度が高いリード(つまり有望リード)から接触していくイメージ。
どれだけ業務効率を上げられるかが成果に直結する。 30 分 1 コマとすると、週 80 コマをどう使うかというタイムマネジメントの勝負になる。
ここの改善方法がいくつか書いてある。
営業(フィールドセールス)
「商談を受注に持っていくまで」を担当する。
一口に「商談」と言っても確度は様々なので、これらも個別のフェーズに分けて管理する。
- 「リード以上、商談未満」では、定期的なフォローをしたり、課題に気付かせてあげたりする
- 「ビジネス課題の認識」では、「不要」と思われないようにする。つまり、このサービスが必要だと理解してもらう。一番重要なところ
- 「評価と選定」では、選定のキーパーソンに対して、選定条件を自ら作り出して自分たちに有利なフィールドを作るのが重要
- 「最終交渉と意思決定」では、正式に稟議プロセスを開始してもらう
- 「稟議決裁プロセス」では、その稟議がちゃんと進むようにフォローする
いずれにおいても、商談における数字をしっかりとチェック・ケアするのが大事。 受注予定日を過ぎていないか、情報が更新されていないものはないか、目標が達成できるだけの商談があるか、現在の商談が今後どうなりそうか、など。
カスタマーサクセス
「ユーザーの成功のサポート」を担当する。 つまり、導入したサービスを使い始め、安定して使い、もっと使いこなすためのサポートを行う。 ちゃんと言うと、オンボーディング → 導入支援 → 活用促進 → 契約更新フォロー → プランアップ提案 → テクニカルサポート。
ほか
戦略
- 市場戦略
- リソースマネジメント
- パフォーマンスマネジメント
組織づくり
MVV は、信念と市場へのメッセージ、日常の言動が一貫していなければならない。
社員が何を大事にしているか理解する。 多様性は大事だが、それが目的になってはよくない。
テクノロジーの活用
セールスオートメーションツール(営業活動を自動化してくれるツール)はちゃんと選ぼう。 データの取得・解析とかを、テクノロジーを活用してやっていこう。
感想
一通りの営業の流れというのを学んだので、多少解像度は上がったかなーという印象。 実際に経験したわけじゃないので、まだなんとも言えない感じが強い。 それぞれの部署で一日見学みたいなのがあると、営業のことが知れていいんじゃないかなと思った。
これは個人の偏見もりもりな話。 営業全般において「気合でなんとかする」とか「残業しまくって件数をこなす」とかのイメージがあったんだけど、実はそうじゃないっぽいと分かった。 営業プロセスや顧客情報のデータを管理して、しっかり戦略を練って戦っていくのが求められる。
ただ、営業の文化や用語に慣れていないのもあって読みづらかった。 「SMB」とか「パイプライン」とかが説明無しで使われていて、毎回ググりながら読んでた。 あと SFA とか MA とかの略称や、フォーキャストとかのカタカナ語がめっちゃ出てきて、これもかなり辛かった。 この記事ではそれを噛み砕いて書いたのでだいぶ分かりやすくなった……ような? あとは結構ふんわり書かれてて言いたいことが掴めなかったり、特に前半がストーリー仕立てで書かれているので知りたいことがどこに書かれているか見つけられなかったりした。 これは好みの問題も大きいかもしれない。
「組織」という点が一緒だからか、プロダクト組織づくりと似たようなことが書いてあったのが興味深い。 大きな目標を設定しようとか、KPI を設定しようとか、MVV を大切にしようとか。 「フィールドセールスはタイムマネジメントが鍵」って書いてあって、開発では「開発の見積もりにストーリーポイントを使う」みたいなのがある。
プロダクト開発と大きく違うところとして、チームでの活動ではなく個人活動である(と思っている)ことがある。 開発では「チームをうまく回すには」が書かれているのに対し、営業では「個人がどう動くか」が書かれている印象。 そして、エンジニアは「個人のスキルは勉強して身につける」みたいな話が出がちなのに対し、営業は「One Team、一致団結していこう」みたいな話が出がち(と思っている)。 「やっていること」と「意識したいこと」がまるっと正反対の関係になっているのが面白いと感じた(想像を多分に含んでいるけど)。